子どもの笑顔を守る…それが、先生
人生に 人あり 友あり 笑顔あり へんちゃか ぺんちゃか
自然は厳しくとも、優しさも与えてくれる。
この表裏一体が、時にはうらめしくもなり、おかしなもので、恋しくもなるのだ。
時間を止めたいと、いくら願ってみたところで、無理なこと。そして、止められないからこそ、一瞬の思いに燃えて行く、ああ、それが人のさだめなのであった。
あれ?
なんか、小説家みたいな雰囲気?
ってなわけで、学校コンサートも開始して、こども達から、元気をいっぱいもらいながら、歌い歩いていますよ~。先生方も思い切り楽しんでくださり、本当に体育館までもが、踊るほどです。それと言うのも、こんな、司会の先生のおかげなんですね。
「さあ、みなさん、いつもは体育とか朝会で集まる、この体育館。今日は違います!そうです、今日だけは、この体育館は、コンサートホールなのです!」
すると、体育館に響き渡る、「うわお~」という、どよめき。
そんなわけなので、「ユッズリ~ン!」と呼ばれて、出て行けば、もう興奮を抑えきれない目が、手が、口が、体が、一斉にボクを見つめます。
一曲目から立ち始める子が出現!
あららと思っている間もなく、二曲目では、気がつけば、全員が総立ち!
えっ?な、なんで?今日って、ライブ~?みたいな雰囲気に、乗り遅れるものかと、がんがん歌えば、ますます燃え上がるこども達。
音響さんだけは、「いっひっひ、こりゃ、どんな展開になるのか、楽しみだわい」と、大笑い!
とにかく、座ってもらうのに一苦労。
そして、この日、いちばん、まいったのは「そしてぼくらは地球」のときだったのです。今、いちばん、子ども達や先生方と、感じ合いたい歌なんですね。
原発の事故もあり、どうしても、みんなで「未来への生き方」を見つめ直したい「時」でしょ?
自然を征服、調整なんて、やっぱり無理があるんですよね。上手に付き合ってこその人間。人間だって、自然の一部なんだものね。
それを伝えたいので、この歌だけは、特に高学年の子ども達の中に入って、目を見て、手をつないで、歌うようにしているんです。ほら、いいでしょ、この真剣なまなざしのこども達。
と、ところが、歌い終わってステージに戻ろうとした瞬間…、そう、びびっと来たのです!
あ、あぶない!今日は、きっと、このままステージにはたどり着けないって…。
なぜなら、1年生から4年生の目が、ぎらぎら燃えているんです。
「ユッジュリ~ン、握手して~!」
「あたし、さわっちゃおうっと!」
「おれも、足をひっぱるぜ~!」
「よ~し、ステージに帰すなよ、みんなで力を合わせるんだ~!」
案の定、押し寄せるこども達。
長年の勘で見抜いたお坊ちゃま。すかさず、子ども達の中を通り抜けずに、体育館の壁の方から戻ろうとすれば、ああ、ああ、なんていうことでしょう!よけいに、皆様の心を燃え立たせてしまい、完全に囲まれて、身動きできない状態にされてしまったのでありました(本当は、この場面の写真があるのですが、あまりにも、そう、あまりにも悲惨な状況ゆえ、お見せできないのでありました)。
そんな学校コンサート、6月に入って、静岡県牧之原市の小学校にうかがいました。
先生方の駐車場、ふと目をやれば「AED搭載車」のシールが張ってある自動車もあり、「今どきの先生って、すごいなあ」と、感心していたんですね。いったい、どんな先生なんだろうと思っていたら…。
コンサート終了後、その先生が、一人の女の子を連れて、体育館のステージ横、そでに来てくれたのでした。その方は、ライフセーバーもやっていて、しかも、東北にもボランティアで一週間も入っていた先生だったのです。
「ユズリン、今日はありがとうございました。コンサートの最後に、東北震災の話もしてくれたでしょ?実は、この子、東北から来た子なんです。家が、福島の原発のすぐそばで、あの3月11日から避難が始まり、通っていた学校の友達とも、誰とも会えていないんです。」
3年生の彼女、目に涙をためて、今にも泣き出しそうなのを懸命にこらえていました。
先生の言葉は続きます。
「ボランティアにも行ったので、それなら、自分のクラスで受け入れたいと申し出たんです。教員の仕事は、子ども達の笑顔を守ることですよね。なんとか、この子の笑顔が見たくて、毎日いろいろとやっているんですが、なかなか、はじけてくれなくて…。それが、今日のユズリンのコンサートで、ものすごく笑っていて…。正直、悔しくもあり、うらやましくもなりました。」
返事に困ってしまいましたが、何よりも、この先生の思いに感激!
だって、ちゃんと、教員としての使命を強く持っているでしょ?学習も大事、成績も大事。でも、それよりも、基本的なことを忘れずに、温め続けているんですよね。子ども達の笑顔、生命を守るのが、僕ら教員の仕事なんだって。
この先生の思いがある限り、彼女も「この町、この学校、このクラスに来て良かった」って、ちょっとは思ってくれるんじゃないかなって、急にうれしい涙がこみあげてきました。そうそう、その彼女が、その時は話せなかったんだけど、手紙をくれるって言ってくれました。なかなか、思うようには書けないかもしれませんが、もし、届いたら、また、みなさんにもお伝えしましょうね。ちなみに、今度の日曜日のラジオでは、彼女の名前も、ひとことメッセージもお知らせします。ぜひ、聞いてみてくださいね。
ラジオのディレクター、すぎすぎブースカ氏が話してくれました。
「ユズリンの今度のソングブック、たくさんの実践報告があるだろブー?全部、読んだんだけど、研究授業とかじゃない、日頃の、先生と子ども達との、シナリオのないドラマが、ちゃんとあるんだよねブー。」
涙しながら編集した、そんな16人の先生の実践記録。
どうぞ、読んでみてくださいね。きっと、心が動き出しますよ。そして、まねしたくなります。
何だって、最初はまね、模倣からです。そこから、自分のやり方、色、味が出てくるんですね。
そんな参考になればと、今までも数多くの曲を創ってきましたが、今年、初めて、ユズリン作品のちらしを作ってみました!音楽センターの山田店長の力を借りて、こんなに立派なものが仕上がりました。ただ、CDを載せているだけではなく、そのアルバムに寄せる思いも、可能な限り、書き綴っています。ボクがいる場所でないと、手に入りませんが、これまた、のぞいてくださいね。
コンサートもあり、研修会もあり、そして、サマーカレッジにも突入です。
体調を整えながら、一緒に楽しみましょうね。そう、それは、子ども達の笑顔を守るためですよ~!
新しい 歌もできたよ ふたつもね へんちゃか ぺんちゃか
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