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天才おぼっちゃまセッター「ユズリン」

2003年9月4日

 長いようで、あっという間の夏が終わってしまいました。

 たくさんの方のおかげで、サマーカレッジ(略してサマカレ)が無事終了です。東京から鹿児島までの全国13ケ所。よくぞ身体と声がもちました、はい(心はどうかって?う〜ん、もう忘れちゃった。聞かないで)。 例年だとどこかで声をつぶしているというのに、いったいどうしたわけか最後の神戸までとにかく声が出たんです。ダンスの指導時の声かけも、かなりきついんですよ。自分も踊りながら(しかも鏡のように反対に)みなさんの踊り具合を見ながら声をかけるので、息は正直切れます! しかしです、それを見破られないようにごまかすテクニック、身に付いたようです!(お腹周りに肉が付いただけではなくて良かった。)どんどんみんなが上手になっていくのが、どこの会場でもうれしくて、ついついはしゃいでしまうユズリンなのでした。

 ある時なんか、ピカリンが僕の声かけをすべてチェックしながらメモしていたんですよ。「うまい」を何回、「うまいうまい」を何回…というようにね。その結果を教えてもらった時に、まあずいぶんしゃべっているんだなあ、とあらためて自覚したほどです。

 今年のサマカレは、例年以上に楽しかったんです。

 そのわけはね、ピカリン、まっちゃん、ユズリンの三人のコンビネーションがすごく良かったということです(僕にはそう思えました、僕にはね)。三人の特徴を分担しながらもからめながら、とてもうまく回ったなあと感じています。朝のあいさつのコーナーでは、まるでトリオ漫才のようなテンポ感ある「しゃべり」になっていたし、歌のコーラスや伴奏も、そして個人的には遊びのときのピアノ伴奏のタイミングや雰囲気作りも合格点をもらえるんじゃないかなあと思えるほどの、できばえでした(おおっ、強気な発言)。もちろん、内容も素晴らしいのですよ!(まっちゃんの成長ぶり、ピカリンのまる投げ遊び)

 毎回、当然のごとくピアノ伴奏は変わっていきます。まったく同じようにはできませんからね。回を重ねるたびに、お互いのやりたい事がわかっていくという感じなんです。それを感じつつ、寄り添っていく事が大事なんですね。

 僕は元バレー部なのでついバレーに例えてしまうのですが、AクィックやBクィックにも、まっちゃんやピカリンが入ってくれるようになったし、もちろんフェイントやバックアタック、ブロードもみごとなまでに決めてくれるし、相手のブロックもかわせたしね。え、僕のポジション? そりゃ、決まってるでしょ!チームを自分のトス回しで勝利に導く、天才おぼっちゃまセッターです!(「久美さん」って呼んで!え、知らないの?往年の天才セッター、中田久美だよ。)

 そんなトス回しができたのも、日頃の特訓があったからなのです!

 ベテラン「ピカリン」選手とは長い付き合いなので、まあ、お互いの腹の内もだいたいわかります。問題は、超大型新人アタッカーの「まっちゃん」選手です! 身長があるのでなんら不安はなかったのですが、いかんせん少々内気なひかえめな選手。どうしたらその長身を活かせるか…、ふう。悩みました。時間はないし、まさか本番を練習にしているだなんて、口が裂けても言えないし…(あれ、もしかして言ってる?)

 しかしです、方法があったんです。それは、常日頃からコンビネーションを作るために、とにかくトスを数多くまっちゃんに回すということでした。それはもう厳しい特訓の日々でした! 朝の食事に始まり、会場までの道すがら(ホールに入る階段までも)、さもない休憩時間やお昼、はたまたトイレにまでも天才おぼっちゃまセッター「ユズリン」は、ひたすらトスをあげまくったのでした。はたから見れば、ただふざけているようにしか見えない、あまりにもばかばかしいその練習風景。フフフ、あまいんだな。そこには凡人には理解できないほどの、深い深い意味があったのです! そのかいあってか、中盤からはやっと、上げた所に飛んでくれるようになったのです。

 Aクイックはもちろんのこと、まっちゃんならではの秘密プレー「かわいいうさぎ」や「かっぱ」「チンパンジーのももちゃん」、そして極めつけは「やっぱねえ」攻撃!までも編み出したのでした。過去には、「かまきり」「かわいい礼」というのがあったのですが、今年はその比ではありません!(ちなみに、ベテラン「ピカリン」選手までもが、いつの間にか「やっぱねえ」攻撃を習得していたのには驚きです! そうそう、控え選手の音響「モロちゃん」さえもこの技を盗んでいたのでした。)

 長かった特訓の日々でしたが、これでようやく肩の荷が下りました。

 最終日の神戸、「きみがぼくの“元気”」を弾く時、アドレナリンが出すぎて弾けるかぎりの演奏をしてしまいました。そんな天才おぼっちゃまセッターの上げるボールにも、ベテラン選手「ピカリン」はもちろんのこと、超大型新人アタッカー「まっちゃん」もくらいついてきてくれたのでした。もう何も教える事はない!よくぞ、ここまで成長してくれた!そうつぶやきながら、天才おぼっちゃまセッター「ユズリン」は静かにコートを離れるのでした…!?

 あれっ、何の話だっけ?

そうそう、コンビネーションね。つまりは、素晴らしい三人だったということですよ。もちろん、そこには参加してくださる方のフォロー、応援(笑い声)あってという事は言うまでもありませんね。

 数々の名選手を育てた、天才おぼっちゃまセッター「ユズリン」は、このサマカレで手にした金メダルを胸に抱きながら、秋の学校コンサート遠征に出発です。これからは、一人。しかし、そこには次の時代にアタックしていく素晴らしい芽を持った子ども達が待っています。その芽を伸ばすためには、子ども達が受けやすいようなボールをサーブし、子ども達が打ちやすいようなトスを上げなきゃね。

 こうして、天才おぼっちゃまセッター「ユズリン」は一歩、また一歩と疲れた身体をひきずって、歩きながらつぶやくのでした。

 「苦しくったって、悲しくったって、コートの中では平気なのだ。たとえ目立たなくても、これが自分の仕事さ!」(えっ、あれで目立っていないって言うわけ? か、考えられない!)

 というわけで、明日を担う小学生のみなさん、そして先生方、いやいや校長先生も、体育館でお会いしましょう。さてさて、きみはユズリンの特訓にどこまでついてこれるかな? それっ、トーッス!